・・・・・・・使え・・・・・
ボクに何を使えと言うんだ!
・・・・・・を使え・・・・・
だから、何を!!
・・・我らの力使え・・・・・
我ら? キミたちは一体!?
・・忘れたのか? 我らを・・
ボクはキミたちなんか知らないよ!
・・我が名は・・・・・・!!
聞こえないよ!
・・我が名は・・・・・・!!
だから聞こえないって!!
我らの力・・・・・・・
力!?
・・・・お主に宿っている・・・
!!
・・・・目覚めよ・・・ルーンの名を持つものよ・・・・
ルーン!?
そういや、『シャ=ドゥ』とか名乗る男もルーンを名乗る者を・・・・・
ルーンと言う名前に何かあると言うのか!!
・・・・そうだ・・・・・・
!!
・・・・お主ら、ルーンの名を持つ者・・・・・・
お主ら!?
ボクとシルフィのことか!!
ボクらに何をさせようというんだ!!
・・・・それは・・・・・
それは・・・・?
う!
うわああああああああああああああああああ!!!!!!!!!
「ミルフィーさん! ミルフィーさん!! 大丈夫ですか!!!」
「あ・・・・」
「良かった・・・気がついて・・・・」
「ボクは一体・・・?」
「いえ、隣の部屋で寝てたら、ミルフィーさんの叫び声が聞こえて・・・」
「ごめん。何でもないから。」
「すごい汗だよ。」
「大丈夫だから・・・」
「そう? 私部屋に戻っているから・・・」
「うん・・・」
シルフィは部屋を出て行った。
ミルフィーは起き上がると、カーテンをあけ外を眺める。
シャ=ドゥとの戦いから三日。
あれから、あのシャ=ドゥの仲間だと言う謎の女は現れなかった。
(あの夢は・・・・・・)
最近見るようになった夢。
謎の人物が二人現れ、ミルフィーに何を訴えかけているように感じている。
(あの二人は一体・・・・?)
(それよりもシルフィだ。記憶を取り戻す方法はあるのかな?)
シルフィは記憶が戻っていない。
(神殿に行ってみるか・・・・何かわかるかもしれない・・・・)
ウォータの町には、創造の女神ルーンを祭る神殿がある。
グランス島最大の神殿。
そこに行って、神官に相談すれば記憶を取り戻す手がかりが得られるかもしれない。
ミルフィーはそう考えたのだった・・・・
神殿。
二人はここに来ていた。
「ここは・・・?」
「ここは女神ルーンの神殿だよ。ここの神官ならキミの記憶を呼び戻すきっかけがわかるかもしれない。」
「そう・・・」
「こわいの?」
「え・・・? そうかもしれない。だって嫌な記憶だったら・・・・」
「そういう記憶もあるかも知れない。でも楽しい記憶もあるよ。」
「・・・・・そうですね。そうですよね。記憶を失う前の私を知っているミルフィーさんがそう言うのでしたらそうですよね。」
二人は神殿の門を抜け、神殿中央部に存在するルーン女神像が納められている大聖堂へ向かう。
大聖堂へは魔星と同じ108段の階段を上る。
上りきったところで1段さらに上る。
そこに大聖堂の入り口があった。
「大丈夫?」
「は・・・はい。」
階段はかなり急である。
しかも109段もある。
数ヶ月とはいえ、『氷炎』と呼ばれるほどのミルフィーでもある程度疲れる。
一般の人であるシルフィには結構キツイ。
「すこし休んでから行こうか?」
「そうしましょう。」
大聖堂への向かう道には庭園があり、休める場所も幾つか点在していた。
空いている休憩所の席につくシルフィ。
ミルフィーも近くに腰を下ろした。
「ふう・・・・」
「・・・・・・」
「ねぇ、ミルフィーさん? この前は聞けなかったけど・・・」
「なんだい?
「昔の私の事、わかる範囲でいいから教えて欲しいの・・・」
「昔の?」
「うん。駄目?」
「いいけど・・・・」
(さすがにボク達は恋人同士だったって言うのは言えないな・・・・)
「どうかしましたか?」
「いや・・・ あ、そうだ。」
ミルフィーはそういうと首にかけていたペンダントを外す。
「?」
「これをキミに・・・」
「え?」
「これはね。昔、キミの誕生日にボクがプレゼントとしてあげた物なんだよ・・・」
「!?」
「やっぱ・・・ 記憶の無い今じゃ受け取れないよね・・・・」
「いえ・・・ ください・・・・」
「シルフィ?」
「これも失くしてしまった私の思い出の一つです。」
「そうだね。」
ミルフィーはすっとシルフィの首にかけてあげる。
ミルフィーのこの行動にはシルフィはびっくりして、顔を赤くした。
「ミ・・・ミルフィー・・・・さん!?」
「あ・・・・ ごめん・・・」
自分の行動に気がついたミルフィー。
二人とも顔を真っ赤にして俯いてしまった。
(さすがにやばかったかなぁ・・・・ 昔のシルフィと今のシルフィじゃ違うのに・・・つい・・・)
気まずい雰囲気が二人を包む。
「いやぁ〜。初々しいですねぇ〜。」
突然、のほほ〜んとした声が響く。
「!?」
「久しぶりですねぇ〜、ミルフィーさん。そちらのお嬢さんがミルフィーさんの探し者なのかな?」
「ジュンさん!?」
突然現れたのはのほほ〜んとした青年だった。
ショートカットの髪型、目が開いてるか開いてないかわからない位細い糸目。
しかも前髪で半分隠れかかっているから目がよくわからないと来ている。
しかし、普通の人間では無かった。
背中には6対12枚の白き翼が生えていた。
しかも両耳の後ろからは何故か6本づつ羽毛が生えている。
そう、彼は・・・・有翼種族フェザーウォルクの人だった。
フェザーウォルク。
背に翼を持つ種族。
翼の枚数によりその地位が決まっている。
この世のどこかにあるという幻の島・ソレント島に住んでいる。
その島にはフェザーウォルクの国があり、王が治めている。
5対10枚の翼を持つ偉大なる王が。
だが、このジュンには6対12枚の翼を持って生まれてしまったため、島を追放されてしまった。
王を超える存在を決して許されないという理由からだ。
ジュンはその後、傭兵としてその生きてきた。
その中でミルフィーと知り合った。
「何故、キミが・・・・ お参りですか?」
「いやぁ〜。飛びつかれて休んでいるんですよ。何せこれだけの翼があると疲れるんですよ。」
そういって翼を動かす。
「あの〜。ミルフィーさん? この方は?」
「怪しいけど怪しい者じゃないよ。わかりやすく言えば・・・ボクの仲間かな?」
「はいはい〜。私はジュンです。『氷炎』のミルフィーの仲間・『疾風』のジュンです。以後お見知りおきを。お嬢さん。」
「あ・・はい・・・ 私はえっと・・・・シルフィール=ルーン=ミトゥラです。よろしく・・・」
「はい。よろしく〜。」
「相変わらずですね、ジュンさん。」
「変わらない事はいいことですよ。」
「そうですかね?」
「そうですよ〜。」
「ん・・・ そうだ・・・ ジュンさんなら知っているかもしれない。」
「何でしょうか?」
「シャ=ドゥと言う名に聞き覚えはありませんか?」
「シャ=ドゥ?」
「はい。」
「う〜ん・・・ シャ=ドゥ、シャ=ドゥ、シャ=ドゥ・・・・・・」
「わかりませんか?」
「・・・・・・!!!」
「!? どうかしましたか!?」
「シャ=ドゥ・・・・思い出しました・・・・その名は遥か昔から伝わる伝承に出てきます。」
「伝承?」
「はい。龍神ヴァイル・・・・・今では冥龍魔神ヴァ=イィ−ルと呼ばれていますが、このヴァイルが女神ルーンら神々に単身戦いを挑んだ伝承にシャ=ドゥの名前が出てきます。」
「・・・・・それで?」
「もし、その者がこの伝承の人物であるのであれば・・・・」
「ジュンさん・・・・」
「絶対なる六星(アボ=ス=ルート)が龍神ヴァイルの復活を目論んでいます・・・・・」
「絶対なる六星(アボ=ス=ルート)・・・・・」
驚きを隠せないシルフィ。
それもそのはず。
女神ルーンと龍神ヴァイルの戦いはミルフィーは知っているが、あくまでそれは伝承。
いわゆる子供向けの昔話としてしか聞いていなかった。
まさか、実際にあった話であり、事実だったとはジュンの話を聞いてなお、信じられるものでは無かった。
「ま・・・・まさか・・・・ あの昔話が実話だったとは・・・・・」
「昔話ですか?」
話の内容がよくわからなかったシルフィがミルフィーに聞いた。
「うん。よくある昔話。君は記憶が無いから覚えてないと思うけど、子供なら誰でも聞くお話。」
「それが、今の・・・えーと、龍神なんたらの・・・・」
「龍神ヴァイルですね。」
ジュンが補足する。
「ええ。」
「何故に今になって・・・・しかも、シルフィに何か関係が・・・・・」
ミルフィーが言いかけた時だった。
「ミルフィーさん、ストップ。何かがあります。」
「!? シルフィ、ボクの後ろへ。」
「は・・・はい。」
何がなんだかわからないが、シルフィはミルフィーの背に隠れた。
「妙な気配ですね。」
「この気配・・・・この前の・・・・奴か!?」
「この前の・・・? そこのお嬢さんが変な男に襲われた時に現れた女性ですか?」
「はい。気をつけてください。かなりの使い手ですよ。」
「絶対なる六星(アボ=ス=ルート)であれば、かなり強いと思いますよ〜。」
のほほんと答えるジュンにミルフィーは呆れた。
「この状況で・・・・」
「まあまあ。」
ブンッと何かが広がった。
人々が消え、景色はセピア色に変わった。
「結界ですか〜。それはそれはご丁寧にありがとうございます〜。」
背中の羽根を一本抜くと無造作に投げた。
キンと言う澄んだ音が何かに当たり落ちた。
「そこですか〜。で、何かご用ですか? 私たちは貴女と遊んでいる暇は無いんですよ。」
空間に筋が入る。
その筋が開いたと思うと一人の女性が出てきた。
「よくわかったわね。そこのボウヤよりイイ男みたいね。」
「はは。ありがとうございます。貴女は絶対なる六星(アボ=ス=ルート)の方ですよね?」
「そうよ。絶対なる六星(アボ=ス=ルート)が一人『欲』ア=ヴァリ=スよ。どう、この世界の言葉ようやく覚えたの。」
「はいはい、よくわかりますよ。で、お帰り願えませんか?」
「そういうわけにはいかないのよ。」
「そうですか。ミルフィーさんちょっと・・・」
ジュンがミルフィーを手招きする。
ミルフィーは警戒しながら、背中でシルフィを庇いながら、ジュンのそばに行く。
「なんですか?」
「あのヒトは私が相手しますので、貴方たちは下がっていてください。」
「!? あの女、結構強いんですよ? しかも絶対なる六星(アボ=ス=ルート)であればなおさら・・・」
「心配無用ですよ、ミルフィーさん。彼女も異質の存在なら私も・・・・ね。」
そういうと翼を動かす。
「・・・・・わかりました。くれぐれも油断しないでください。」
「大丈夫ですよ〜。」
「ねぇ・・・」
すっぽかされていたア=ヴァリ=スが口を開いた。
「何やっているの? 私がいるのに和んじゃって。開き直ったのかしら?」
「いえいえ。たいした事では無いですよ。貴方と戦うのは私か彼かをちょっと相談をね。」
「へぇ〜。このア=ヴァリ=ス相手に余裕ねぇ。」
「相談の結果、私が貴女の相手をする事になりました。よろしく〜。」
のほほんとした表情でのほほんと答えた。
「やる気がうせるわねぇ・・・」
「おや、そうですか?」
「まぁ、いいわ。私はそこのボウヤと遊びたいの。お兄さんとは遊びたくないんだけど、しょうがないわ。」
「はっはっはっ、私と遊んでも楽しいと思いますよ? ほれほれ。」
ジュンは翼を全展開した。
六対十二枚の翼。
神々しさすら感じる。
「!? お兄さん、フェザーウォルクでしょう? その翼の枚数は・・・・」
「やっぱ、多すぎて密度があるため気がつきませんでしたか・・・・ 私の翼は六対十二枚ありますよ? すごいでしょう。」
何故か自慢するジュン。
「六対十二枚・・・・ お兄さん、フェザーウォルクの王様?」
「いえいえ、追放されたんですよ〜。王を超えた存在は本来はいてはいけないのですから。」
ジュンは無造作に空間に穴を開け、手を突っ込んだ。
そこから何かを取り出した。
「槍?」
「いえ違います。これは戦斧のお仲間ですよ。聞いた事はありませんか? 双戦斧グランドフォーチュンの名前は・・・・」
「双戦斧グランドフォーチュンですって!」
「そうなんです。」
「なるほどね。それなら少しは楽しめそうね。」
「そうですか? それはそれは・・・・よかったですね!」
一気にア=ヴァリ=スに詰め寄るジュン。
「!? 速い!」
「ア=ヴァリ=スさん、この程度では無いでしょう?」
「ま、ね。」
何かを振るア=ヴァリ=ス。
「おっと。」
かわすジュン。
「双戦斧グランドフォーチュンを見せてくれたお礼にね。私の見せてあげるわ。クリエイショナル・セイントリィをね!」
「クリエイショナル・セイントリィ! く!!」
「遅いわよ! 召還! ホーリィブロッサム!!」
「な! 召還呪文なしで!!」
「シャ=ドゥのような小者といっしょにしないでね♪」
楽しそうなア=ヴァリ=ス。
ホーリィブロッサムとは、肉食植物の一種。
動くもの、敵対するものを容赦なく襲う。
ア=ヴァリ=スと敵対しているジュンを容赦なく襲った。
「ちっ!」
空中に逃れたジュン。
「う〜ん。ちょっと甘かったみたいね。」
上空を見上げるア=ヴァリ=ス。
「さすがに今のは拙かったですね。喰われる所でしたよ。」
そういうとふわりと降りてきて着地した。
「今度はそうはいかないわよ♪」
「もうちょっとア=ヴァリ=スさんに似合った物召還できないんですか?」
「私に似合ったもの?」
「例えば・・・薔薇の花とか。真紅の薔薇。」
「あら、うれしいわね。私に似合うのかしら?」
「少なくとも後ろのホーリィブロッサムよりはね。」
すっと構えるジュン。
普段は糸目の目が鋭い目に変わっている。
「本気でくる気ね。いいわ。遊んであげる。」
その時だった。
ポロン・・・・・・
何処からともなく綺麗な音が響く。
「!?」
「おやめなさい・・・ここは聖なる場所。争いはおやめなさい・・・・」
その姿を見たミルフィーは・・・
「貴女は・・・・・」
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