アースティア大陸の東に存在するグランス島。






そのグランス島においても辺境の村。






キボートス。






すべてはそこからはじまった・・・・












第三章 有翼種族フェザーウォルク


 原案・キャラクターデザイン:氷樹一世
キャラクター原案・著:輔










「貴女は・・・・・アクアさん!?」

「な!」

驚くア=ヴァリ=ス。

自分のはった結界を容易く進入してきたのだ。

「ここは聖なる場所。争う場所ではありません。」

「へぇ。このボウヤ達みたいな人間がいたとはねぇ。」

「貴女はまだやる気ですか?」

アクアが優しい声で言った。

「まあね。遊んでいる途中だし・・・・ね!?」

何処からとも無く細い紐のような物が飛んできた。

それがア=ヴァリ=スの体に巻きついた。

「これは・・・・鎖!?」

ア=ヴァリ=スは鎖の先を見ると、アクアの隣の少女が放った物だった。

怒りの形相だ。

「悪い人は許さない。ボクがやっつけてやるんだから!!」

「あら? 元気な子ね。」

ア=ヴァリ=スは鎖に巻きつかれたまま、言った。

「でもね。この程度の鎖じゃ、私は拘束できないわよ。」

ア=ヴァリ=スが鎖をつつくと崩れ去った。

「!? ボクの鎖が・・・・・」

「貴女方邪魔ね。」

そう言うとホーリィブロッサムをけしかけた。

ホーリィブロッサムに少女の鎖が飛んだ。

巻きつくが、何事も無かったように破壊した。

「!」

「その程度で勝てると思っているのかしら? お譲ちゃん?」

「くそ〜。」

「悪い人をやっつけるんでしょう?」

「うぐぐ・・・」

「んふふ〜。やっちゃって、ホーリィブロッサム。」

ホーリィブロッサムは吼えると少女に襲いかかった。

「え〜い。奥の手! ルリア・ファイヤー・ウィップ!!」

腰につけていた鞭を振るった。

ホーリィブロッサムに巻きついた。

「馬鹿の一つ覚えかしら?」

「どうかな?」

「ん?」

鞭がいきなり燃え出した。

その炎はホーリィブロッサムを包み込んだ。

「炎を発する鞭と言うわけね。」

「このまま、焼き尽くしてやる!」

「無理ね。」

ア=ヴァリ=スは指をパチンと鳴らした。 

するとホーリィブロッサムが消えた。

「え!?」

「ホーリィブロッサムを元の世界に戻しただけよ。」

「にゃろ!」







ポロン・・・・・・







「おやめなさい。ルリア。」

「アクア〜。コイツ悪い人だよ!」

「おやめなさい。ルリア。」

「わかったよ〜。」

「あら、そちらのお嬢さんよりお姉さんの方が物事よくわかってんじゃない?」

「貴女もです。絶対なる六星(アボ=ス=ルート)が一人、『欲』ア=ヴァリ=ス。」

「!? へぇ、知ってるんだ。私の事。」

「ミルフィーさん達も引いてください。」

「・・・・・・わかりました。」

渋々言うミルフィー。

やれやれという顔で武器をしまうジュン。

「しょうがないわね。ボウヤ、また遊びましょうね♪」

妖艶な笑みを浮かべるとア=ヴァリ=スが消えた。

と同時に結界も消えたのだった。














女神ルーンの神殿の一室。

ミルフィー達はアクアに招かれ来ていた。

のほほんな顔をしたジュン、事態がよく飲み込めてないシルフィ。

そして不機嫌なミルフィーだった。

「不機嫌ですね、ミルフィーさん。」

「アクアさん、もちろんです。あの時、ジュンさんなら倒せていたかも知れないのに・・・」

「いいえ、伝説の有翼種族フェザーウォルクの力をもってしても倒せなかったでしょう。」

「!? その根拠は何ですか?」

ムスッとした表情のミルフィー。

「結界です。」

「結界? は! そうか! そういうことなんですね!?」

「ミルフィーさんが聡明な方で助かります。」

「あの〜、どういうことなんですか?」

おずおずとシルフィが聞いてきた。

「ア=ヴァリ=スが張った結界。つまり、彼女に都合のいいように作られているんだよ。」

「都合のいい・・・?」

「うん。ジュンさんの攻撃をその気になれば無効化も可能だし。」

「!」

「そこの女の子の鎖が崩れ落ちたのもその影響。そうですよね? アクアさん。」

「そうです。」

「ボクの鎖が効かないなんておかしいと思ったよ・・・」

「ルリア、貴女とア=ヴァリ=スとの実力の違いもありますから、そこのところを。」

「ぶ〜。」

ふてくされるルリア。

「はいは〜い。ちょっとよろしいですか? え〜と・・・」

「アクアです。」

「はい、アクアさん。このちんまいのは何ですか?」

ルリアを指差す。

「ちんまくないやい!」

怒鳴るルリア。

無視を決め込むジュン。

「ルリアですか? 私の娘です。」

「失礼ですが、そんなお歳には見えませんが?」

「捨てられていたルリアをわたくしが拾ったのです。」

「はぁ、なるほど。」

「ところで、これからどうしますか? ミルフィーさん。」

「そうですね。本当なら、彼女の・・・シルフィの記憶を元に戻す事をしたいのですが・・・・」

「何かあるのですか?」

「ボクと彼女の生まれた村はすでにありません。つまり手がかりがまったくないんです。」

悔しそうに言うミルフィー。

「しかも、絶対なる六星(アボ=ス=ルート)がシルフィを狙う理由がまったくわからない以上、そう簡単に動くことも出来ません。」

「シルフィさんが狙われる理由ですか・・・・」

「はい。」

「難しい問題ですね。手がかりみたいな物は何かありませんか?」

「手がかり・・・そういえば・・・・」

「ありますか?」

「シャ=ドウと名乗る男が妙な事を言ってました・・・・」

「妙な事ですか?」

「『その少女は女神ルーンの名を持つ者・・・・渡してもらおう・・・・』と。」

「女神ルーンを名を持つ者ですか・・・」

「それぐらいです・・・今、手がかりになりそうなものは・・・・」

「伝承では女神ルーンと敵対していましたが、それが関係あるのかも知れません。」

「そう・・・ですね・・・・」

頭を抱えるミルフィー。

「すみません・・・私のために・・・・」

悲しそうな顔のシルフィがミルフィーに声をかけた。

「気にしなくていいよ。」

「はい、気にする必要な事はないですよ。」

ジュンがのほほんと言った。

「で、でも・・・」

「貴女はミルフィーさんと同郷です。しかも貴女は記憶を失っています。同郷の人間としては何とかしてあげたいと思うでしょう?」

「そうかもしれませんが・・・・」

ジュンはシルフィとミルフィーの過去の関係は知っていたがあえてこう言った。

今、彼女を混乱させるような事をする訳にはいかないからだ。

「何かの縁です。私もお手伝いしますよ。」

「ありがとうございます・・・・」

「さて、ミルフィーさんにアクアさん。さしあたって何をしましょうか?」

「そうですね。わたくしとルリアは伝承を探ってみます。シャ=ドゥなる者は絶対なる六星(アボ=ス=ルート)の一人です。何かあるのかも知れません。」

「え〜。ボクもやるの〜?」

「手伝いなさい。」

「ぶ〜。」

ふくれるルリア。

「よろしくおねがいます。」

「では、私とミルフィーさんはシルフィさんの護衛でもしてますか?」

「そうだね。また、来るかもしれないし。」

「よ、よろしくおねがいます。」

ジュンとミルフィーに向かってシルフィは頭を下げながら言った。

ミルフィーは微笑んだだけだった。

それを見たシルフィの顔は真っ赤になった。

(ミルフィーさんの笑顔はある意味危険かもしれませんね。)

そう思うジュンだった。














嵐のような暴風と豪雨の中、1つ館に明かりが灯っている。

その館の一室、円形の部屋に魔方陣のような黒い円卓が1つ。

円卓の内側はくりぬかれ、そこからライトが下から上へと照っている。

『ただいま〜♪』


軽い声が部屋に響いた。

ア=ヴァリ=スだ。

『甘い女よ・・・・』

【災害】と書かれた席に座る男が言った。

『あら? そうかしら?』

『まぁ、いい。あのような小物を殺せないとはな。』

『なら、カ=ラミ=ティ。貴方がやればいいじゃない。』

『それもそうか。』

ブンッと自慢の大鎌を振るった。

『クェ=アス! ちょっと言ってくるぜ。』

【混沌】と書かれている席の仮面の男に言うカ=ラミ=ティ。

『かまわんが、ほどほどにな。』

『俺様が行けばあんなガキなんざ・・・・』

そう言いながらカ=ラミ=ティは出て行った。

『シャ=ドゥの二の舞にならないといいわね〜。そう思うでしょ? ジェラ=シ?』

【嫉妬】と書かれた席の女性に声をかけた。

『・・・・・・』

返事は無かった。

『昔っから、貴女ってそうよね。』

呆れるア=ヴァリ=スだった。























空。

雲一つなく快晴。

その空にヒビが入る。

亀裂となり、そこから鎌が出てくる。

「うおりゃぁぁ!!」

ほえる声と共に空が鎌で破壊された。

そこから一人の男が出てきた。

「ちぃっ。厄介だな。」

そう呟く。

「ふーん。あすこがルーンのアマの神殿か・・・」

足元に見えるルーン神殿。

「あの女が負けた理由がわかったような気がするぜ。」

ルーン神殿から、聖なる気配が発していた。

どうやら、絶対なる六星(アボ=ス=ルート)にとっては障害物らしい。

「さてとどうするか・・・・・じっくり考えるか。思いっきり楽しみたいしな。」

男はその場であぐらをかいて腕を組み、考え始めたのだった。














女神ルーンの神殿の書庫。

一般には一部しか公開されていない。

それでも、ものすごい数の蔵書が収められていた。

「はぁ、すごいですね〜。」

周りを見回してため息をつくジュン。

「アクアさんはこの中から、探して読めって言うんですかね〜。」

「ジュンさん、そんな事したら・・・・ボク達が死んじゃいますよ。」

「そうですね〜。何百年かかるんでしょうか〜。読み終わるまで〜。」

のほほんと言った。

「・・・・・・・それが出来るのはジュンさんだけです。」

「私がいくら長寿の種族でも無理ですってば。」

「ジュンさんの場合、常識が通じないじゃありませんか。その翼は伊達ですか?」

「ふつーのフェザーウォルクよりは長生きするかもしれませんね。それも、ご隠居生活すればですけど。」

「いきなり、ご隠居にならないでください。」

「いちおー人間で言う還暦は過ぎているんですよ? お年よりは労わらないといけませんね。」

「それはジュンさんに当てはまりません。」

「あのぅ。」

漫才のような会話をしている二人にシルフィが声をかけた。

「ん? なんだい、シルフィ。」

「アクアさんが呼んでいるんですけど。」

「あ。」

ミルフィーが扉の方を見ると、憮然とした表情のアクアが立っていた。

「漫才は終わりましたか?」

「す・・・すみません・・・・!」

「わたくしは別に構いませんが、時間があまりないのでしょう?」

「はい、そのとおりでございますですはい。」

変な言葉使いになっているミルフィー。

それを聞いたアクカはクスリと笑った。

「女神ルーンに関連する蔵書のほとんどは一般に公開されておりません。ですから、一般に公開されている蔵書を調べるのは無駄なのです。」

「それでは・・・! どうすれば・・・!」

「ジェミニス大陸へ向かいましょう。」

「ジェミニス大陸?」

「はい。ここから最も近いジェミシス大陸最大の島クレセンツへ。」

「そこに何が?」

「クレセンツ最大の都市シルヴァニアのルーン神殿には冥龍魔神ヴァ=イィ−ルに関する蔵書が収められていると聞きます。」

「!?」

「わたくしたちには彼らに対する情報が少なすぎます。情報収集をすべきです。」

「そうですね。ありがとうございます。ボク達はすぐさま船を手配して、ジェミシス大陸最大の島クレセンツへ向かいます。」

「あら? わたくしを置いていく気ですか?」

「へ?」

「わたくしもお供いたします。」

「ボクも!」

何処からともなく現れたルリア。

そして、アクアに殴られた。

「ぺにゃっ。」

変な悲鳴を上げたルリア。

「ここは神殿の書庫です。大声はいけません。」

「うう〜。わかったよ〜。」

頭をさすっている涙目のルリアだった。

「危ないですよ?」

「それはわかっています。でも、彼女がわたくしたちを見逃すつもりはないですね。」

「絶対なる六星(アボ=ス=ルート)が一人『欲』ア=ヴァリ=ス・・・・」

「そういうことです。」

「わかりました。クレセンツへの船の手配が済み次第、声をおかけします。」

「お手数をおかけします。わたくしたちはそれまでの間、ここにある関連蔵書を調べておきます。ルリア手伝いなさい。」

「は〜い。」

「それではジュンさん・・・・・って、ジュンさん?」

「・・・・・・・・・・」

ジュンに声をかけたミルフィーだったが、ジュンは気がついていなかった。

「ジュンさん!!」

「!? あ・・・」

「あ・・・ではないです。話ぐらい聞いていてください。直接関係がないといっても・・・・」

「いえいえ、すみません。クレセンツですね。船の用意はミルフィーさんがやってください。私は野暮用が出来てしまいまして・・・・この辺で・・・・」

そういうとジュンは走るように出て行った。

「・・・・? どうしたんだろう?」














ジュンは神殿を出ると、人目を気にせず、そのまま飛び立った。

すべての翼を使い、ものすごいスピードで空へ。

そして、目標を目で確認すると急ブレーキをかけてとまった。

「やはり・・・・いましたか・・・・・」

そう呟いた。

目の前には不自然に中に浮いた男がいた。

あぐらをかいて腕を組んでいた。

その男はジュンに気がついた。

「んぁ?」

「・・・・・・気がつかれてしまったようですね・・・・・」

「おや? フェザーウォルクじゃねぇか。まだ生き残っていたのか? 俺があれだけ殺したはずなんだがな?」

「やはり貴方は・・・・フェザーウォルクを滅亡寸前まで追い込んだ死神・・・・・・」

「へぇ、俺も有名人になったもんだな。」

「貴方は・・・・絶対なる六星(アボ=ス=ルート)の方ですか?」

「!? ま、そりゃそーだな。あれだけあの女が暴れりゃな。」

「あの女とはア=ヴァリ=スさんの事ですね。」

「そういうことだ。おっと自己紹介がまだだったな。俺は絶対なる六星(アボ=ス=ルート)が一人『災害』カ=ラミ=ティ。お前はフェザーウォルクの王様かい? 翼がいっぱいあるしな。」

「ア=ヴァリ=スさんにも説明いたしましたが、私は王様ではないんですよ。」

いつもの調子に戻っているジュン。

でも、警戒態勢は怠らない。

「ちがうのか?」

「ええ、違うんですよ。王を超えた存在なんです。」

「ほう・・・王を越えた存在・・・・・」

「はい。」

「ここで戦ってみたいが・・・・今回はやめておこう。」

「あら。戦う気があるのかと思ってました。」

「なーに、今は野暮用で出来ないのさ。それに個人的にお前と戦ってみたいが・・・」

「野暮用ですか。」

「ああ、野暮用だ。また会おうぜ、フェザーウォルク。フェザーウォルクじゃまずいな。これは種族名だ。お前の名を聞いておこう。」

「『疾風のジュン』です。」

「疾風か・・・確かにそんなに翼がいっぱいありゃ速いわな。」

「どうも。」

「じゃ。会うのはいつになるかわからねぇがな。」

そういうと空の亀裂の中に入っていくカ=ラミ=ティ。

そしてその亀裂は何事もなかったように消えた。

一人残されたジュンは呟いた。

「すぐに会えますよ、カ=ラミ=ティさん・・・・」









 
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