アースティア大陸の東に存在するグランス島。






そのグランス島においても辺境の村。






キボートス。






すべてはそこからはじまった・・・・












第六章 死の神


 原案・キャラクターデザイン:氷樹一世
キャラクター原案・著:輔










「この程度の小物に退けられたとは、シャ=ドゥも甘すぎたな。」

ディス=クラク=トの一撃で地面に半分埋まってしまったミルフィー。

「く・・・」

うなる。

「まだ、生きていたか。なら、介錯仕る。」

再び、巨大な鎚を振るった。

「滅。」

「うわああああーーーっ!!!!」

叫び声とともに立ち上がったミルフィー。

そして鎚を剣で受け止めた。

「が・・・・」

衝撃がミルフィーの体に響く。

「受け止めたか。だが、我がジャスティス・マイトを受けてただではすまん。」

ミルフィーはそのままうつ伏せに倒れてしまった。

「くそ・・・ なんてパワーだ・・・」

「貴公らは我らを甘く見てないか? たかが人間と思い、手を抜いたシャ=ドゥやカ=ラミ=ティのように我は手を抜かぬ。」

「・・・・・・」

「もはや、戦えぬか。クェ=アスも甘いな。我に一任すれば、このような小物すぐ処理できたものを。」

そういい残すと、転がっていたカ=ラミ=ティを無造作につかむとその場から消えたのだった。














「うおおお!? なんじゃこりゃぁ!!」

胸騒ぎがしてミルフィー達を追いかけてきたルシフェル。

そこで見たのは、三つのクレーターと埋まっているミルフィーとジュンだった。

「こいつら・・・何と戦ったんだ・・・」

若いながら、数多くの戦場を経験したルシフェルであったが、ここまでの惨状は見たことがなかった。

「どっちにしてもやばいな。はやく町に運んで治療しないと。」














・・・・・・使わぬ・・・・・

キミたちはいったい誰なんだ!!

・・・・・・を使わぬ・・・・・

だから、キミたちはいったい誰なんだ!!

・・・何故、我らの力使わぬ・・・・・

いい加減にしてくれ!!

ボクはキミたちなんか知らないよ!

・・我が名は・・・・・・!!

・・我が名は・・・・・・!!


聞こえないよ!!

・・・・目覚めよ・・・ルーンの名を持つものよ・・・・

うわああああああああああああああああああ!!!!!!!!!














ミルフィーは目を覚ました。

「ここは・・・」

ズキズキする頭に手を当て、周りを見回す。

「どこかの・・・宿屋・・・」

「ミルフィーさん!」

偶然、様子を見に来たシルフィが叫んだ。

そしてそのまま駆け出し、ミルフィーに抱きついた。

「よかった・・・ 気がついてよかった・・・」

彼女は泣いていた。

「ここは・・・・」

「近くの町です。たまたま通りかかった船であった黒ずくめの傭兵が運んでくれたんです。」

「黒ずくめの傭兵・・・・ あの、ルシフェルとか言う・・・」

「そのとおりだ。」

ドアの向こうに黒い人影が立っていた。

「いちゃついているとこ悪いが入らせてもらう。」

「別にいちゃついてなんか・・・」

「単刀直入に聞こう。お前ら何と戦ってる? 仕事ではないな。」

「確かに仕事ではないですが・・・ 相手に対してはお話できません。」

「そうか。ジュンと同じこと言いやがった。」

「ジュンさんは無事だったんですか!?」

「あいつは俺達とは違う。翼の枚数ですべてが決まるような種族なのさ。回復も早い。」

「よかった・・・」

「やばそうなのは俺にもわかる。クレーターを三つも作成できるんだからな。」

「・・・・・」

「まぁ、いい。楽しそうなので混ぜてくれ。」

「は!?」

「最近、つまらなくてな。」

「危ないですよ!!」

「ミルフィーさん、これ以上何言っても無駄ですよ。」

ディス=クラク=ト入り口から、ミイラのようなジュンが現れた。

「な・・・ 包帯グルグルじゃないですか!! 大丈夫なんですか!?」

「これですか? ああ、大丈夫ですよ〜。私は傷の治り早いですから〜。」

そう言いながら包帯を取る。

「話を戻して・・・ 無駄ということはどういうことですか?」

「簡単です。ルシフェルさんは強い奴と戦うのが好きなんです。仕事中でもたま〜に任務忘れて戦い挑んじゃうような。」

「は!?」

「そういうこった。宜しく頼むぜ。いざとなったら見捨てて結構だぜ。」

「はぁ。」

「そうと決まれば早速準備しないとな。」

そういうと部屋から出て行った。

「強引な人だ・・・」

「そういう人なんです。」














嵐のような暴風と豪雨の中、1つ館に明かりが灯っている。

その館の一室、円形の部屋に魔方陣のような黒い円卓が1つ。

円卓の内側はくりぬかれ、そこからライトが下から上へと照っている。

そこには六つの席があった。

『今、戻った。』

ディス=クラク=トがつぶやく。

『ディス=クラク=ト。シャ=ドゥに続きカ=ラミ=ティも退けられたのか。』

『正確には違うな。倒されたというのが正確だろう。カ=ラミ=ティに関しては。』

どっかと席に座る。

席には【破壊】と書かれている。

『しかし、これで四人になってしまった。』

『片付けてきた。もう問題なかろう。』

『いや、生きているそうだ。』

『大した生命力だな。また行って滅ぼしてこよう。』

『その必要は無いわ。』

【嫉妬】と書かれた席に座る女性が口を開いた。

『何だと?』

『失敗した者を再度使うつもりは無いわ。』

『失敗だというのか!?』

『生きてる。これで十分よ。』

『確かにな。今度は誰が行くのだ?』

『この私。絶対なる六星(アボ=ス=ルート)の一人、【嫉妬】ジェラ=シが行きます。』

『貴公が?』

『あの【欲】が言う坊やに興味があります。』

『惚れたか? ジェラ=シ。』

『惚れたかもしれません。』

『おいおい。』

『あの坊やには、何か秘密がありそうです。それを調べてこようと思います。』

『秘密だと。』

【混沌】と書かれた席に座る仮面の男。

『クェ=アス。』

『ジュンとか言うフェザーウォルクはともかく、ミルフィーという人間に秘密があるのか。』

『あの坊やも、我らが器と呼ぶ少女と同じくルーンの名を持つもの。何がありそうです。』

『偶然の一致では済まされぬな。』

『はい。早速行ってきます。』

そういうとジェラ=シはその場から消えた。

『大丈夫なのか? クェ=アス。』

『・・・・・』

『だんまりか。まあ、いいか。お手並み拝見といこうか。』














数日後。

ある程度回復したミルフィーは、町の図書館に来ていた。

大きな町ではないのでそれほど大きくない。

ルーンについて調べに来ていたのだ。

神殿では、ルーンに都合のいいと言っては語弊があるが、大した情報は得られない。

ルーンの文献をこの図書館で調べに来たのだ。

ただ、女神ルーンや冥龍魔神ヴァ=イィ−ルの事ではない。

自分のミドルネームにあるルーンだ。

ミルフィーは孤児であり、両親を知らない。

この名前は、両親から与えられたものらしい。

この名前に秘密があると考えたのだった。

それに、過去二度見た夢・・・

謎の二人組ついて・・・

(ダメか・・・・ 人の名前のルーンなんて、女神ルーンのご加護を受けるためにつけるのばっかりだ。)

本の山に埋まりつつ、うな垂れるミルフィー。

(あの夢の二人組み・・・ あの二人はいったい? ボク自身に関係するのか、ミドルネームのルーンに関係するのか、それすらもわからない。)

(一旦、宿に戻るか・・・)

ミルフィーは本の山を片付ける。

(しかし、何なんだろう・・・あの二人・・・)

図書館を後にした。














ミルフィーは宿屋に戻るため、大通りを歩いている。

倒したとはいえ、相手は『絶対なる六星(アボ=ス=ルート)』の一人。

体はボロボロで、痛々しい傷と包帯で包まれていた。

(く・・・ ボクは一体どうしたら・・・)

図書館で調べたルーンの意味。

そして、夢で現れる二人組。

解決できないことばかりであった。

そして・・・何故『絶対なる六星(アボ=ス=ルート)』がシルフィを狙うのかを・・・








「見つけましたわ・・・・」

はるか上空に浮かぶ人影がつぶやいた。

「かなり参っちゃっているようですけど・・・ 貴方の本当の力を見るためです。」

人影が地上へ黒い玉を落とした。

「クルセイド・ロウ。氷に司りし幻杖。冷たき魂宿らせよ。」

玉がうごめき出す。

「氷幻獣ビュリオン。」

四足のモンスターに変わった。








ドスゥゥンと凄まじい轟音で何か落ちてきた。

「!?」

ミルフィーは思わず後ろを振り向いた。

そこには見たことのないモンスターがいた。

「な・・・! この街中に・・・!」

人々は逃げ惑う。

そして、モンスター出現を聞きつけた警備兵が集まりだす。

モンスターは吼えると、吹雪を吐く。

周りが凍り始めた。

「な・・・ 氷の属性を持つモンスターか!」

ミルフィーは片手を背に回す。

が、剣がなかった。

「しまった! 宿屋においてきてしまった!!」

慌てるミルフィー。

「く・・・ 逃げるしかないのか・・・」

モンスターと目が会う。

口を大きく開けて吹雪を吐いた。

ミルフィーは間一髪かわすが、左足が凍りついた。

「ぐあ・・・!」

地面に叩きつけられた。

「傭兵として、なんて失敗だ・・・ボクは・・・!」








「なんだ、この音は!?」

宿屋の窓から外を見るルシフェル。

街の一部から冷気が立ち上がっている。

「冷気・・・だと・・・ 何が起きやがったんだ!!」

部屋を飛び出す。

そして廊下を走って外へ出ようとしたとき、気づく。

ミルフィーの泊まっている部屋の僅かに開いた扉から見えた物。

「あん馬鹿・・・! 忘れていきやがったんか!!」

扉を開けるとそれを掴んで外に飛び出したのだった。








「相当ダメージを受けているようね。でもね、まだこれからです。見せてくださいね。貴方の真の力を・・・」








「くそ・・・・」

地面に転がるミルフィー。

完全に凍りつかなかったミルフィーをモンスター・・・氷幻獣ビュリオンは見つけると襲い掛かってきた。

体を捻って強烈な前足の一撃をかわす。

「足が凍って思い通りに動けない・・・!」

ビュリオンが背を反り上げる。

強烈な頭突きをミルフィーに叩きつけた。

「がふは・・・」

ミルフィーの意識は途切れた・・・








・・・・甘いな・・・・

お前は・・・・夢に出てくる・・・・

・・・・この程度の代物も倒せぬほど弱いとは・・・・

何だと!!

・・・・仕方があるまい・・・・

・・・・我が貴公の力の使い方を教えてやろう・・・・

ボクの・・・力・・・・

お前は一体何なんだ・・・・!!

・・・・我が名は・・・・

ハッキリ言ってくれ・・・・!!

・・・・ターナートース=モルス・・・・

ターナートース=モルス・・・・

・・・・人は我を死の神と呼ぶ・・・・

!?








ビュリオンが腹への強烈な一撃で吹き飛ばされた。

ミルフィーが蹴り上げたのだ。

「ぎゃぶぉ!」

地に叩きつけられた。

むくりを起き上がるミルフィー。

そしてビュリオンを睨んだその左目は銀色に輝いていた・・・・








「!? これは・・・気配が変わりましたわ!?」

上空に浮く人物は思わず叫んだ。

「まさか・・・これほどの・・・・」








「貴公の力はこの程度ではない。そこで見ておれ。」

そう呟くミルフィー。

起き上がり再び襲い掛かるビュリオン。

ミルフィーは動じない。

そして左手を前に差し出した。

ビュリオンの頭を掴む。

Die and dance

ポツリと言うと、ビュリオンは消し飛んだのだった。

ビュリオンの死とともに凍った街は元に戻った。

ミルフィーはそのまま倒れた。








・・・・完全には制御できぬか・・・・

一体何が何だか・・・

・・・・貴公は弱い。まだ我が力を制御出来ぬようだ・・・・

貴様!!

・・・・忘れるな。貴公には二つの強大な力が眠っている。その一つが隙間から漏れただけの事・・・・

ボクの強大な力・・・

・・・・我が名はターナートース=モルス。人は死の神と呼ぶ・・・・

おい! まて! まちやがれ!!








「今のは一体・・・? 気配が今までのに戻った・・・・ やはり、何かあるようですわね・・・・」

杖をかざそうとしたが、やめた。

「もう少し実験してみた方がいいですわね。」

そう言うと消えたのだった。








「何だ・・・これは・・・・」

冷気が立ち上っていた大通りに駆けつけたルシフェルが見たものは、倒れているミルフィーと何かが暴れたような後だった。

ビュリオンに立ち向かった警備兵は何が起きたのか覚えていなかった。

「・・・・なるほど。これがジュン達が相手にしている敵って訳か・・・」

ルシフェルは転がっているミルフィーを背負う。

「楽しめそうだ・・・なんて悠長な事言っている暇なんぞなさそうだな・・・」








次の日。

ミルフィーは宿の部屋で目を覚ました。

体が動かない。

(あれは・・・夢ではなかった・・・ただの・・・・)

腕を動かそうとする。

激痛でやめた。

(限界を超えたんだ・・・ ボクの体が・・・ あのターナートースとか言う奴の力が強大すぎて・・・)

窓から外を見る

空は青空で澄み切っていた。

(ボクは・・・ボクは・・・一体・・・・)









 
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